「ユニクロセルフレジ」を巡る訴訟の行方に思いを馳せてみる

今回は、令和3年5月20日に判決が出た、ユニクロセルフレジを巡る訴訟の行方について、考えてみました。

技術的なところは、様々な方がとてもわかりやすく説明・分析されていますので、今回は割愛しますね。

参考 106_ユニクロのセルフレジ 特許侵害訴訟(追記&修正あり)弁理士ブログ~日々知財日和~ 参考 ユニクロのセルフレジに対する特許権侵害訴訟の最新情報について栗原潔のIT特許分析レポート 参考 判決結果の推測に繋がる?ユニクロのセルフレジと関係する特許無効審判事件を分析!おっさん特許技術者の備忘録

これまでの概要

特許権者側のアスタリスク社は、元々ユニクロ(ファーストリテイリング社)の下請け企業だったようですね。

アスタリスク社は、セルフレジの特許を持っており(実際には株式会社NIP)、ファストリ社に侵害訴訟を裁判所に提起しました。これに対して、ファストリ社は、アスタリスク社のセルフレジの特許に対して、無効審判を特許庁に請求しました。

特許庁の判断(審決)は、「一部無効」。

これに対して、審決の取消を求める「審決取消訴訟」(審取訴訟)が提起されました(侵害訴訟とは別)。

裁判所の判断は、「全部有効」。アスタリスク社側が満額回答を得られ、ファストリ社が全面敗訴したのです。

ちなみに特許の内容はこちらです。権利範囲がとても広く、かなり攻めた権利の取り方をしてるな~という印象です。

参考 特許6469758J-Plat-Pat

この特許については、ファストリ社が別の証拠でもう1つ無効審判を請求し、審理が行われています。そしてこの特許を親として、分割出願で登録された特許についても、ファストリ社からの請求で、無効審判がなされています。絶対潰したい…!という、ファストリ社側の本気度が見れます・・・。

そんな中でのファストリ社側の全面敗訴。ファストリ社側が次にとり得る法的手段について、考えてみました。

受験生には、とてもいいお題だと思います。

どんな法的手段がとれる?

審決取消(無効→有効)となった「請求項1、2,4」と、審決維持(有効→有効)となった「請求項3」で、分けてみました。

(1)請求項1、2、4

判決が出て2週間後に判決が確定しますが、その間にファストリ社は最高裁に上告できます(図の(1))

判決が確定すると、特許庁での再審理に付され、いずれ審決が出ます。審決は、裁判所の判断に拘束されるので、基本的には判決と同じ「特許有効」となります。

そして審決が出てから30日を経過するまでは、法的には、ファストリ社は、同じ証拠で無効審判を再度請求できますし(図の(2))、審決に対して審決取消訴訟もできます(図の(3))。まあ、同じ証拠で無効審判を請求したり、訴訟をしても、基本的に結論は変わらないので、特に意味はないです。「結論は変わらない」といったのは、審取訴訟の判断は、その後の審理や裁判をも拘束するからです(最判H4.4.28「高速バレル事件」)。

審決から30日が経過したら、審決が確定します。審決が確定すると、ファストリ社は、もう同じ証拠では闘えません。「一事不再理」(特167)というやつです。

これとは別に、ファストリ社は、いつでも、別の証拠で無効審判を請求できます(図の(4))
実際に、ファストリ社は、別の証拠で別途無効審判請求しています。こちらの審理では、現時点で「審決予告」がされており(特164条の2)、「アスタリスク社が大ピンチ」な状況です。

(2)請求項3

一方で、請求項3は、特許庁の「特許有効」の判断を維持する判決が出ています。この場合は、判決確定と同時に審決も確定するので(審判便覧51ー21)、再審理の期間はありません。(1)「上告」及び(4)「別の証拠で無効審判」だけができるということです。

上述しましたが、ファストリ社は、別の証拠で別途無効審判請求しており、「アスタリスク社が大ピンチ」な状況です。

まとめ

結論として、今後ファストリ社がとり得る方法としては、

  • 上告する
  • 別の証拠による無効審判をする(というか、していますね)

となりますかね。

今後の展開を引き続きウォッチしたいと思います。

それにしても、実際の事例で審判手続きを見ていくのは、めちゃくちゃ勉強になるな~。

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