「模様メリヤス事件」(大審判S13.12.22)について、4コマ漫画を描きました。
弁理士試験では、「メリヤス編機事件」の陰に隠れがちな判例ですが、「模様メリヤス事件」の「一機関」は、実務的にはとても重要な概念だと思います。
目次
4コマ漫画
ざっくり内容
各共有者は他の共有者の同意を得ずに第三者に実施許諾すると、第三者の実施行為は侵害となります(特73条2項)。
しかし、第三者が共有者の「一機関」であれば、第三者の実施行為はその共有者の実施行為と実質同じになり、他の共有者の同意を得なくても侵害にならないのです(特73条2項)。
「一機関」の定義は、
①権利者(甲)との間に工賃を支払って製作せしめる契約の存在があること
②原料の購入、製品の販売、品質についての権利者(甲)の指揮監督があること
③製品を全部権利者(甲)に引き渡し、他へ売り渡していないこと
です。
尚、①は学説上必須のものではないようです。②+③であればよいとか、③のみで足りるとか、色々な見解があるようです。
関連判例
(1)「地球儀型トランジスターラジオ受信機事件」(最判S44.10.17)
第三者が、先使用権を有する者からの注文に基づき、もっぱらその者のためにのみ物品の製造・販売をしているに過ぎないときは、その第三者の行為は、先使用権の範囲に属するとした事例です。
先使用権の範囲に属するかの要件が、一機関的です。
(2)「鋳造金型事件」(最判H9.10.28)
契約で、その全部をE精機に納入していたのだから、専らE精機の事業のためにされたというべきであり、通常実施権者であるE精機の実施権の行使としてされたと解するのが相当であるとした事例です。
参考
・have-made rights
参考 米国判例における下請製造権(have-made rights)の解釈パテント 2010 Vol. 63 No. 7