【判例4コマ】ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー事件

著作権判例「ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー事件」(最判S53.9.7)について、4コマ漫画を描きました。

事件名の昭和感がたまらなく好きです。

ポイントはシンプル、著作権においては「(原著作物を)知らぬが仏」です。

4コマ漫画

ざっくり内容

①依拠 かつ ②同一性 があれば、複製権侵害になります。

「依拠」の定義は以下の通りです。

既存の著作物の存在およびその表現内容を、これを再製する者が認識していることが前提であり、既存の著作物に接したという客観的な要件だけでなく、これに既存の著作物を利用しようといった主観的な要件が加わった概念である

高林龍『標準著作権法〔第3版〕』[2016]73頁

また著作物の存在や内容を知らないで同一性のある作品を作成した者は、過失があると否とにかかわらず、著作権侵害ではないことが明らかになりました。

特許とのちがい

特許権の場合は、先使用の要件を満たさない限り、②同一性を満たせば待ったなしに侵害となります。

これに対して、著作権は、①依拠しなければ②同一性を満たしていても侵害となりません

この理由は、著作権は、創作だけで直ちに(審査なしに)権利が発生するので、「独自に創作したものがたまたま既存の著作物と類似しているから侵害」とすると、独自創作者に不測の不利益を与えるからです。

そうなると、創作が奨励されなくなりますね。だから、著作権では、第三者に有利になるようになっているんですね。

参考

・田村善之『著作権法概説〔第2版〕』[2001]49頁

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