【判例4コマ】インクタンク事件(特・最判)

「BBS事件」の次は、やっぱりこれ。

重要特許判例「インクタンク事件」(最判H19.11.8)について、4コマ漫画を描きました。

ちなみに「インクタンク事件」は、知財高判H18.1.31も有名ですが、今回は最高裁判例についてです。

4コマ漫画

4コマ×3=12コマでお送りします!(重要判例は長くなりがち・・・)

フレーズだけ見るとふと勘違いしそうになりますが、「同一性を欠く」は、「製品」にかかっているんですね~。

発明が「同一性を欠く」のであれば、そもそも侵害にはなりませんから…(均等侵害は除く)。

ざっくり内容

参考

・判決文

参考 平成18(受)826裁判例検索

補足(2021/7/4更新)

(1)同一性を欠く特許製品と、同一性を欠かない特許製品

同一性を欠く特許製品(の新たな製造)か否かは、結局こういうことになります。

  1. 物理的変更が、無いか軽微 = 同一性を欠かない ⇒ 消尽され、非侵害
  2. 物理的変更が本質的部分にある = 同一性を欠く ⇒ 消尽されず、侵害

尚、同一性を欠く特許製品(の新たな製造)か否かは、総合考慮で判断されますが、本判決では、同一性を欠く方向に働く要素として、以下の要素が挙げられました。

イ:特許製品の属性
ロ:特許発明の内容
ハ:加工および部材の交換の態様
二:取引の実情

インクタンク事件での被告人の行為等を当てはめてみると、以下のようになります。

・穴あけ、洗浄等 → 物理的変更が、本質的部分に「ある」 = 同一性を欠く方向に働く

一方、

・単に、インクの詰め直し等 → 物理的変更が「無い」か「軽微」 = 同一性を欠かない方向に働く

となります。

最高裁は、一応は判断基準を示したものの、具体的にどういう事例が「同一性を欠く特許製品」となるかは、今後の事例の蓄積により決まるものと思われます。(つまり、現時点では明確には決まっていないものかと…)

(2)なぜインクカートリッジのリサイクル品が普通に売られているのか?

家電量販店に、普通にインクカートリッジの非正規リサイクル品が売られていますね。

あれ?インクタンク事件では、リサイクル品が侵害になったけど、これって大丈夫なの?と思われる方がいらっしゃると思います。

上述した通り、「同一性を欠く特許製品」か否かの判断基準は、明確には決まっておらず、今後の事例の蓄積によりルール化されるものと思われます。

したがって、単なるインクの再充填は非侵害になる可能性が高いですが、何らかの加工している場合は侵害になる可能性もゼロではないかと思います。

今後、非正規品メーカーに対してもっと厳しい判例が出るかも知れません。

(3)参考

酒迎明洋 「リサイクルと消尽」 特許判例百選〔第5版〕 46-47頁

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