【判例4コマ】ポパイネクタイ事件(著)

著作権判例「ポパイネクタイ事件」(最判H9.7.17)について、4コマ漫画を描きました。

「キャラクターをもって著作物ということはできない」というフレーズが、有名ですね。

本判例は、事例がややこしく、内容も難解です…。

尚、商標判例に「ポパイマフラー事件」(最判H2.7.20)がありますが、「ポパイネクタイ事件」の被告と、「ポパイマフラー事件」の商標権者は、同じ会社みたいです。

4コマ漫画

「まるプロ」は「まるのプロダクション(法人)」という意味で書きました。笑

補足を4コマ漫画(?)で描きました。

ざっくり内容

(1)キャラクターは著作物ではない。しかし、キャラクターを自由に使っていいという意味ではない。

本判決は、”(抽象的概念としての)キャラクターは著作物ではない”と捉えました。これは、キャラクターを「自由に使っていい」という意味ではありません

「キャラクターが描かれた(表現物としての)イラスト」は著作物なので、キャラクターのイラストを複製したり模倣すれば、著作権侵害となります。

ここで、結局キャラクターが使用されるときは常にキャラクターは表現物になっているはずなので、使用すれば必ず侵害になります。となると、”(抽象的概念としての)キャラクターが著作物であるかないか”という議論は実質的に意味がないのではないか、と思われる方がいると思います。

”キャラクターが著作物であるかないかという議論は、実は保護期間を決める上で重要となると思われます。

(2)イラストとしてのキャラクターの保護期間

本事例をややこしくしている原因は、「ポパイ」の漫画が、「法人著作」であり、「一話完結形式の連載漫画」であることです。

通常、著作物(原画自体等)の保護期間は、「各回公表時から70年」です(著56①)。

これに対して、イラストとしてのキャラクターの保護期間は、「登場初回時から70年」と判示されました。(当時は50年)

判決では、登場2回目以降の(イラストとしての)キャラクターは、登場初回の(イラストとしての)キャラクターと実質同じであり、創作的要素(新規性的なもの)がないと捉えています。

したがって、イラストとしてのキャラクターの保護期間は、「登場初回時から70年」となりました。

尚、これは判決文では触れられていませんが、”キャラクターが著作物である”とする立場だと、保護期間は、通常の保護期間、すなわち「各回公表時から70年」になる筈です(著56①)。そうすると、そのキャラクターが登場する連載が続く限り、実質的にエンドレスで保護されてしまうことになりますよね。このような立場をとれば著作権者には大変有利ですが、そこまで保護するのはやり過ぎなので”キャラクターは著作物でない”とした、ということだったのかなと想像します。

(3)キャラクターについて、より長い保護を求めるには「商標登録」すべき

ポパイネクタイ事件のような事例で、イラストとしてのキャラクターの保護は、登場初回時から70年で終わってしまいます。より長い保護を求める場合は、やはりキャラクターを商標登録すべきだと思います。

弁理士試験受験生の方へ

この事件はとても難解なので、深堀するのはあまりオススメできません。

ただ、予備校の授業等で「キャラクターは著作物ではない」ことが強調されるので、「キャラクターを複製しても侵害とならないのではない?」と思われる方もいるかもしれません。

補足4コマの1コマ目だけを覚えておけばいいと思います!

参考

・判決文

参考 平成4(オ)1443全文裁判例検索

・文献

小島喜一郎 「二次著作物の保護期間」 著作権判例百選〔第6版〕 158-159頁

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