7月1日は弁理士の日!
この記事は、弁理士内田浩輔先生が主催する弁理士の日記念ブログ企画2022への投稿記事です。
今年のテーマは、「知財業界での大ピンチ」。
自分はどんなピンチがあったかな~と振りかえってみたのですが…
クライアントの話だったり、特に面白味のない失敗だったり…ブログに書けるようなピンチがなかったので、「あ~ありそう~!」という話をマンガにしてみました。
外内中間でのピンチと、拒絶査定不服審判でのピンチです。どうぞご笑覧ください♪
ちなみに去年の、弁理士の日記念ブログ企画2021に投稿した記事はこちらです。
目次
外内中間でのピンチ
マンガ
多くの特許事務所では、国内のクライアントだけではなく、外国のクライアントが日本で権利を取得するときの代理もしています。後者の実務を「外内」と呼んでいます。
以前勤めていた事務所は外内案件が多かったのですが、現地代理人・クライアントの中には、無茶ぶりをする方もちらほらいました(笑)
このマンガは、以下の一気通貫さん(@kouro774)のツイートを見て、思い出して描きました。
マンガは「返信 内蔵」×「期限直前 指示の助」×「無理難題 太郎」が一気に来た事例。
このような事例は実際はなかったのですが、それに近いことはありました。期限当日の午前中に指示が来て、サポートが謎の補正案が送られてきたり。。。
これはもう、気合で応答するしかないですね!※外内の仕事は好きです
豆知識~拒絶理由通知の応答期間の延長~
蛇足ですが、拒絶理由通知の応答期間については、国内居住者が60日であるのに対して在外者は3月です。
また応答期間はお金を払えば、国内居住者も在外者も、合理的理由なしに延長できます。
国内居住者は、1通の請求(2,100円)で2か月延長できます。
一方、在外者は、応答期間内であれば1通の請求(2,100円)で2か月延長でき、2通目の請求(2,100円)で更に1か月延長できます。つまり4,200円で最大3か月延長できます。結構手頃ですよね。
ちなみに応答期間経過後も延長できますが、こちらは51,000円と非常にお高くなっています。ですので、できるだけ応答期間内に延長請求したいですね…。
応答期間の末日の翌日から2か月以内に請求をすれば、出願人が国内居住者であっても在外者であっても、1通の請求で2か月延長が認められています。
拒絶査定不服審判でのピンチ
マンガ
拒絶査定不服審判の前に審査官に審査してもらいたいとき(前置審査・特許法第162条)は、審判請求と同時に手続補正しなければいけないですよね(特許法第17条の2第1項第4号)。
でもオンラインで審判請求書だけ先に出しちゃった~!!!というケース。
この後にオンラインで手続補正書を出すのはNGです。手続却下の対象となります。
じゃあもう打つ手はない・・・?
いやいや、裏技があります☆彡
その日のうちに郵便局に行きましょう。
同日に手続補正書を郵送すれば、「審判請求と同時に提出した」ことになるのです!
ただし郵送なので、電子化手数料の支払いをお忘れなく。
豆知識~発信主義と到達主義~
到達主義とは、「意思表示の効力が発生する時期を、相手方に到達した時とする立法主義」(法律学小辞典第5版)です。つまり郵便で書類を送って提出した場合、その書類が特許庁に到達した時に提出の効力が発生します。
一方、発信主義とは、「意思表示の効力が発生する時期を意思表示が発信された時とする立法主義」(法律学小辞典第5版)です。つまり、書類を郵便局に差し出した日時に、その書類が特許庁に到達したとみなす扱いのことをいいます。
特許法では、提出の期限に定めがあるものを郵便物として提出する場合については、「発信主義」を採用しています(特許法第19条)。
ということで、提出の期限に定めがある手続補正書の提出は、発信主義です。
なお、ゆうパック、ゆうメールで送付する場合は、郵便局で「郵便物」ではなく「荷物」として取り扱われるため、到達主義となってしまいます(特許庁HPより)。この点、ご注意を!
まとめ
役所に対する手続関係は、期限が決められているものが多いです。しかも、法律で定められた要件を満たさなければ取り返しのつかないことになってしまうことが多いです。
したがって知財業界の中でも、特許庁と手続きをする特許事務所は、ピンチに陥る場面が結構あると思います。
ピンチに遭遇しないように、手続面はきっちり把握しておきたい。そんな思いから、今回の記事を書きました。
いかがでしたでしょうか?
筆者は知財系情報発信コミュニティ「Yuroocle」に加盟しています。
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